ある日の自分の物語

1/1
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ

ある日の自分の物語

言葉が剣となって胸に刺さったようだった。フラフラと部屋に戻る。ドッ、ドッと傷口から血が溢れているような感じがする。 ーーなんでそんなの書くの?ーー 思いついて一気に書いた短編小説に目を落とす。自信があった。これならと思って母に見せた。いつもは絶対に見せないのに。窓を叩く雨粒の音がする。自分の書くものは、誰にも認められない、ただのごみのようなものなんじゃないか。暗い気持ちが胸の中を支配する。小説家にはなれない。そんなのわかってる。だけど。だけど。誰かに自分の書いたものを認めてもらいたい。感動や衝撃を与えたい。その人の人生に何かを加えたい。誰かは認めてくれる。そんな小さな希望はありえないもの?そんなのいやだ。今と小説よりももっといいものをつくりたい。誰かが自分の小説を認めてくれるようになるまで、私は書き続ける!グッとペンを握った。部屋が、ペンと紙のこすれる響きで、満ちていく。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!