「どうしてこんな手違いが?」
一時のショック状態から復活した私は抗議を始めた。
「さあ? 釣書を省略された時点で疑うべきだったな」
「まさか、わざとそう仕向けたんですか? 橘部長だと思わせるように」
「人聞き悪いな。橘部長の名前は一切言っていないはずだ。白川サイドで起きた勘違いだろう」
「…………」
父が言ったことをよくよく思い返してみた私は沈黙した。
〝橘社長は相手の名前を出さなかった〟
たしかに……。
あのときの白川家の盛り上がりを思い出し、穴があったら入りたくなった。
恥ずかしい。親子揃って、本当に恥ずかしい。
苦し紛れにひたすらカフェオレを飲み続ける。
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