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「うう」
彼が出て行ってからかなりの時間が経ってようやくフリーズが解けた私は恥ずかしさのあまりベッドに突っ伏した。
「なんたる屈辱……」
彼は本気で私に手を出そうとしたわけではない。
結婚はビジネスだとうそぶく私への脅しと辱めと、あと認めたくはないけれど、ほんの少しの優しさと。
なのに私ったら、すっかりその気に──。
「なってない!」
ひとりきりの部屋でむきになって言い張った。
「紛らわしいこと言うからよ! 初心者相手に無駄に色気出すし」
しかし言い訳が尽きると、私は悄然と項垂れた。
あの男には敵いそうにない。
このお見合い、いったいどうなってしまうのだろう?
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