嫌われ作戦と彼のお仕置き

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嫌われ作戦と彼のお仕置き

静かなダイニングルームに、ふたりが立てる箸遣いのわずかな音だけが響いている。 「…………」 「……なに?」 「なんでもないです」 正面の彼の様子をこっそり窺っているといきなり顔を上げられ、慌てて下を向く。 「お、お口に合いますか?」 「ああ。おいしいよ」 特大の焼き茄子を平らげた蓮司さんはさらっと答えた。 ……おかしい。 真帆からの情報だと、蓮司さんは茄子が苦手だというのに。 社員食堂で麻婆茄子が出るときは必ず外で昼食を済ませるのだと。 意中の男の心を掴みたいなら、まず胃袋を掴めと巷では言われている。 そこで私は考えた。 嫌われたいのなら彼の胃袋に嫌われればいいのだと。 同棲を開始して一週間が過ぎ、何度か彼と一戦交えようとしたけれど、口ではどうしても勝てない。 そこで私は実力行使に出たのだった。
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