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お出迎えは暑い日は警備員室で待機
「早く来ないかな?」
佐藤が、小窓のサッシに指を絡めて、外を覗いていた。窓はマジックミラーになっている。NHN尾張放送局の建物が見える。NHN尾張は、愛知県で一番有名な民放だ。ほかの都道府県でも、名前はかなり知られている。小規模な地上波放送局、尾張三河日々テレビとは、対照的な存在だ。
正面玄関隣のここは、警備員が詰める部屋だ。
「小手川さんが、社員になる前、社長面接に来たとき、私はここにいたんだ」
「そうだったんですか」
「君がマジックミラーと気づかず、あろうことか、玄関の横で、リクルートスーツや髪型を直していたんだ」
「……………」
「社長にお伝えしたら、玄関で身だしなみ整えるなど、面接オチるなーって思って、私は、社長に黙って上げていたんだよ」
「――ありがとうございます」
日奈子は、全く記憶にない。事実だとしても、恩着せがましいだけだ。
正面玄関で立っていると、偉い方が来られる度、頭を下げることになる。佐藤は腰痛と肩こりが持病なので、体の負担を避けるべく、警備員室で待機だ。テーブルに座り、監視カメラを見る数人の警備員さんは、自分たちのテリトリーに、無関係な人がいて、心中では立ち去って欲しいモードだ。
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