上司同士が仲悪いと部下が迷惑する

1/1
29人が本棚に入れています
本棚に追加
/121ページ

上司同士が仲悪いと部下が迷惑する

「おはようございます」 〈おはようございます。おはようございます〉  プロデューサー二人の声が被る。  パールピンクの軽自動車から、降りた、小手川(こてがわ)日奈子(ひなこ)が二人に挨拶をする。二十台の女性カメラマンだ。  この部長二人、仲悪いし、ひそひそ話していたので、早く社屋に行こう。心で呟きながら、背中を向けた。ふわり、ショートの後ろ髪が揺れる。 「佐藤(さとう)さ……、佐藤(さとう)部長。差し替え番組、用意しといてね」 「え、ドラマ制作で高名で親切な、緑川(みどりかわ)さん、緑川部長が用意してくれるのかと思ってました」 「そんな時間ないよ」 「あ、私、スーツ忘れたがや」 「ミスを恐れる、いえ、ミスが少ない佐藤(さとう)部長にしては珍しいですね」    小手川(こてがわ)日奈子(ひなこ)は、足早に社員用出入り口に向う。朝、出勤してすぐブルーな気分だ。しかも、今日は佐藤(さとう)と一緒に仕事なのだ。 ***
/121ページ

最初のコメントを投稿しよう!