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上司同士が仲悪いと部下が迷惑する
「おはようございます」
〈おはようございます。おはようございます〉
プロデューサー二人の声が被る。
パールピンクの軽自動車から、降りた、小手川日奈子が二人に挨拶をする。二十台の女性カメラマンだ。
この部長二人、仲悪いし、ひそひそ話していたので、早く社屋に行こう。心で呟きながら、背中を向けた。ふわり、ショートの後ろ髪が揺れる。
「佐藤さ……、佐藤部長。差し替え番組、用意しといてね」
「え、ドラマ制作で高名で親切な、緑川さん、緑川部長が用意してくれるのかと思ってました」
「そんな時間ないよ」
「あ、私、スーツ忘れたがや」
「ミスを恐れる、いえ、ミスが少ない佐藤部長にしては珍しいですね」
小手川日奈子は、足早に社員用出入り口に向う。朝、出勤してすぐブルーな気分だ。しかも、今日は佐藤と一緒に仕事なのだ。
***
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