1136人が本棚に入れています
本棚に追加
「はぁ……嵐が去った」
阿宮さんは軽くため息を吐き、デスクにぐたーと横になり…うつ伏せ状態になる
仕事終わりでもないのに、ぐったりとしてまるで生気でも抜かれたかというくらいに阿宮さんは眠りについてしまいそうだ
「……阿宮さんって、田島さん苦手なんですか?同期ですよね?」
「うーん、苦手というかなんというか……でも厳しい上司より口うるさいからなぁ……」
腕を組んで、考え込む阿宮さんの例えに苦笑してしまう。同期という立場なのに、上司よりも上に見られている田島さんとは……
「……俺ちょっと田島さんに、用があったのでちょっと行ってきます」
ふと、天才的ひらめきをして俺は椅子から立ち上がり田島さんの去っていった方を確認して体を動かす
阿宮さんは、キョトンとしていたが「そうなの?」と言いながらも俺へと言葉を向ける
「気をつけてね~、あいつほんとに口うるさいからさ~」
へらへらとした柔らかな表情で阿宮さんが、手を振って俺を見送ってくれていて。胸がキュンキュンしてたまらなかった
田島さんは出たところからすぐの自動販売機の前にいて何やら難しい顔で選んでいた
そっと邪魔しないように静かに近寄ってみたのだが、何らかの視線を感じたのか田島さんが俺に気付き目線を一度こちらに向けられたが、すぐに視線をそらされた
「……あの、田島さん」
話しかけてみれば、田島さんは分かりやすいくらいに面倒くさそうな表情で顔になんだよと書いているのが俺には見えてしまった
しかし、ここで引いたら来た意味がない
「あ、あの……田島さんに話があるんですが……」
「……何の話だよ、今話すことじゃ」
「こ!ここじゃ話せないことなので、違う所に移りませんか?」
最初のコメントを投稿しよう!