5章 本気と一途と

8/8
669人が本棚に入れています
本棚に追加
/69
「いいですね!行きた……いです」 まだパソコンと睨めっこしている人がこちらを睨むようにしてみている事に気付き、声を少し抑えながら阿宮さんへと答える 「良かったぁ……んじゃ、田島の奢りってことで、ね?」 横をすっと通っていただけだった田島さんを思いっきり引き寄せてくるなり、阿宮さんは「なっ?」と当たり前のように田島さんに顔を向けるが、本人はなんのことだと怪訝な顔をしている 「……何言ってんだ、お前」 「今週頑張ったご褒美にだよ~!可愛い後輩の御ヶ原君と可愛い同期に奢るくらいしてくれたってバチは当たんないでしょ?」 掴まれていた腕を嫌そうに引き剥がされるも、阿宮さんは負けずとウィンクまでして見せる……目の前で行われる光景に何度も目線を変えるが、チラリと田島さんに見られた瞬間…即座に目線を阿宮さんへと確定させた 「何が『可愛い同期』だ……やかましいの間違いだろ、御ヶ原は可愛くてもお前は可愛くない」 さらりと恥ずかしい事を言われた気がしたが、やかましいと言われた阿宮さんが口をへの字して軽く田島さんの肩へとパンチをする その光景は見てる側だと、兄弟が喧嘩をしているように見えて微笑ましくも感じるが……普通に田島さんもやり返していたので考えるのをやめよう 「いてて、金曜日もあるし……電話しといてよ電話。いつもの所でいいからさ~!ね~?」 「は?……それくらい自分でしろっ」 阿宮さんが俺の方に逃げてくるも、俺の背後から田島さんへと話し出すので目を仕方なく田島さんの方へ向ける すると後ろから、阿宮さんの手が伸びてきて空いていた俺の手を両手で掴むもギュッと右と左を交差するように指を組まされる 「ほら、御ヶ原君からの可愛いお願いだよ~!」 たまにドラマとかで見る、女性がすると可愛いお願いポーズをさせられて頭の中が真っ白になるわ……前の人の顔が怖いわで、声が出ない 数秒くらいか……目を逸らしてため息をつかれる。そんな田島さんの姿に対して、阿宮さんは俺の手をパッと離すも「やった~!」と声を上げている 「……これ向こうに出しに行くついでに電話してやっとくから、帰る支度でもしてろ」 先に折れてしまった田島さんは持っていたファイルでこちらを指すも、部屋を出ていった。俺は追うように見ていれば阿宮さんが肩を叩いて、ニコニコとして見ている 「さぁ、さあ!御ヶ原君も支度しよう!」 ご機嫌そうにルンルンで支度をする阿宮さんを横目に見て、固まっていた表情を緩めて俺も支度を始めることにした
/69

最初のコメントを投稿しよう!