プロローグ

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まぁいい。それは別にいい。 今の両親は私を唯一の娘だ、って大切にしてくれているし。だから、別に、どうってことはない。 「確かに今回の新作は良かったな。最後死ぬけど」 「おいいいい!!!神谷さんなんで言うかな!?信じらんねぇ!俺超頑張って我慢してたのに!主人公死ぬよって言いたかったのにぃ!」 「ああ、主人公が死ぬんだね」 「トッシー笑顔こええよぉ!殺されちゃう!サクラ、俺の骨は海に撒いてくれな!湘南希望だ!」 「了解ですぅ」 なるほど。愛と裏切りの壮絶な絆物語に、主人公が死ぬ――と。なんとなく自分とどこか似通った要素がある気がする。 なんとなく視線を感じて顔を上げれば、神谷さんがこっちを見ていた。不思議に思っていると、「冷てぇ」とキョーヤから睨まれたので、薄く微笑む。 そうしてどこかのタイミングで本屋さんへ行こうかなとぼんやり考えを巡らせていた。
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