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流石は神谷さんの弟子。
気づいてらっしゃるようで……。
どっと疲れた私は向かいのソファに勢いよく腰を掛けると、ほんの少しだけ背筋を伸ばして彼を見つめた。
「あのさ、神谷さんって何者なのかな?」
「ん?」
「依頼主の旦那さんがここに来た時、"神谷さんにしか頼めない"って言ってたよね。
それって、どういう意味なんだろうってずっと考えてたんだけど、今日一日過ごして不思議なことがあって。最終的に、魔法みたいに物事が解決した、というか。いや、解決はしてないのかもだけど、なんて言うか」
「あー……」
そう言うとキョーヤはぐい、と上を向いた。はらりと頭のタオルが落ちる。
「そうだなぁ。神谷さんはスゲェよ」
そして、不意に。
見たこともない純粋な笑顔を向けられて、不覚にもドキッとした。
それを悟られないよう慌てて俯くと、彼はよっこらしょ、と起き上がってソファーに座り直し、胡座をかいてこう続けた。
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