Red×King×Vampire

13/52
前へ
/134ページ
次へ
「君はこっちだよ、ホノカ。僕とたくさん話をしよう」  流れるように額にキスをされた。  腹の奥がざわりとした。顔が熱くなってくる。  ブランは笑っていた。真っ赤な瞳にアタシが映っている。  どうしてだろう、目が、離せない。 「ホノカはその小鳥のような声で何を話してくれるのかな」「黄の王フェリックス様、それから小猫ちゃんはこちらへ」  離れたところで美女の声がする気がする。 「その前にまずは着替えよう。ホノカにはもっと可愛らしい衣装が似合うよ」「庭になんて入ってないんだけど! ちっごめんご主人サマ。塀の上から見ていたら捕まった」「分かっている。仕方のないことだ」  レオとフェリックスさんの声が聞こえてくる気がする。  内容は頭に入って来ない。  正直、アタシは心ここにあらずな状態だった。目はブランから離せないし、耳もブランの声に集中しているようで、なんとか聞こえはするが内容まで入って来ない状態だった。  不思議な気分だった。抱えられている所為か、何だかふわふわしていて気持ちが良い気さえしてくる。頭がぼーっとしてきて深く考えられなくなってくる。身体が熱っぽい気がする。 「さぁ着いた」  ブランがものすごく可愛らしい顔でにっこりと笑った。
/134ページ

最初のコメントを投稿しよう!

84人が本棚に入れています
本棚に追加