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「君はこっちだよ、ホノカ。僕とたくさん話をしよう」
流れるように額にキスをされた。
腹の奥がざわりとした。顔が熱くなってくる。
ブランは笑っていた。真っ赤な瞳にアタシが映っている。
どうしてだろう、目が、離せない。
「ホノカはその小鳥のような声で何を話してくれるのかな」「黄の王フェリックス様、それから小猫ちゃんはこちらへ」
離れたところで美女の声がする気がする。
「その前にまずは着替えよう。ホノカにはもっと可愛らしい衣装が似合うよ」「庭になんて入ってないんだけど! ちっごめんご主人サマ。塀の上から見ていたら捕まった」「分かっている。仕方のないことだ」
レオとフェリックスさんの声が聞こえてくる気がする。
内容は頭に入って来ない。
正直、アタシは心ここにあらずな状態だった。目はブランから離せないし、耳もブランの声に集中しているようで、なんとか聞こえはするが内容まで入って来ない状態だった。
不思議な気分だった。抱えられている所為か、何だかふわふわしていて気持ちが良い気さえしてくる。頭がぼーっとしてきて深く考えられなくなってくる。身体が熱っぽい気がする。
「さぁ着いた」
ブランがものすごく可愛らしい顔でにっこりと笑った。
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