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恥ずかしい。めちゃくちゃ恥ずかしい。アタシは恥ずかしさで死にそうになっていた。
「どうしてこんなものを着なきゃいけないの……!」
アタシは身体を丸めて床に額をつけている。腕を身体の脇にぴったりくっつけ、極力身体をさらさないようにしている。甲羅に入ったカメのようだと自分で思った。
こんな姿、誰にも見せたくないし見せられない。あんまりだ。そもそもこういうものはアタシのような女子が着るものではないのではないか。もっと似合う人がいたはずだろうに、服側も可哀想だ。なんたってこんな服を着なきゃいけなかったんだ。この服に着替えようと決心した自分を殴ってやりたい。なんで着ようと思ってしまったんだろうか。あのときのアタシは確実に正気ではなかった。思い返せばなんだか頭がぼーっとしていたような気がする。何も考えられなくて、ただ着替えるように言われて着替えた。そして入るように言われたところに入り、うずくまっている。
あぁもうホントにどうしよう。恥ずかしすぎる!
「そんなに小さくなってどうしたの?」
頭の上からブランが不思議そうな声をかけてくる。
「お気遣いなく! 放っておいてください!」
アタシは床に額をつけたまま答えた。必死だった。ホントにホントに姿を見られたくなくて必死だった。
「可愛いお尻が見えているよ」
「ぎゃぁ見ないで!!」
素早く身体を起こし、お尻に手を当てた。
ブランが目の前にいた。
「ふふふ、可愛いよホノカ。とても似合っているよ」
カッと顔に血が上ってきた。
「やめて!! 許して!!」
両手で顔を覆った。恥ずかしくて死にそう。こんなもの似合うものか!!
アタシが身に着けているのはネグリジェというものである。そう、あの、可愛い女の子にしか許されていないような作りの、生地のうっすいやつである。ホントにめちゃくちゃ生地が薄い。白のシースルーという際どいやつだ。胸の辺りと裾にはバラのレースがあしらってあり、細い紐で肩から吊ってある。パンツも白レースのフリフリ。胸はかろうじてレースで隠れているが、下には何もつけていない。もう一度繰り返す。下には何もつけていない! レースがなんとかアタシの胸を隠しているのである!
死ぬ。死にそう。もういっそ殺してほしい。拷問だ。
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