月明かりに照らされて

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 あれ、おお、ちょっと脈ありかな。僕は心臓が高鳴った。でもそれを態度に出さず、言葉を続けた。 「付き合うのが嫌だったら友達でいいからさ、ラインのID教えてほしいな」 「ウン、別にラインくらいならいいよ」  それからその日の晩にラインをした。最初は渋々といった感じだったが、どうしたことか急に沙織ちゃんは付き合っても構わないと返信をくれた。僕は、産まれて始めて彼女が出来た事にガッツポーズをして喜んだ。しかも相手が沙織ちゃんだなんて天にも昇る気分だ。  次の日から僕は自分のサッカー部が終ると、沙織ちゃんの陸上部が終るのを待って、一緒に帰る事にした。学校から駅まで徒歩20分歩いて電車に乗る。電車の中で数駅間は一緒にいるが、僕は沙織ちゃんより1駅多く電車に乗らなければいけない。なのでいつも電車のドア付近に立ちながらバイバイをして別れていた。  
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