貴族っぽい男を助けました

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昼食を食べないとやってられない。 それに、これ以上相手してたらイライラで頭が禿げてしまいそう。 あたしはドアに手をかけた時だった。 「……まだ何か?」 再び男に手首を掴まれた。 もうこれ以上は勘弁して。 金持ちの自分勝手な優男の相手なんぞもう嫌。 しかし、この男は図々しかった。 「腹が減ったんだ。食事用意してくれ。」 用意するのが当たり前という話し方。 どんだけ蝶よ花よと育てられたのか。 貴族と関わることがないため、もしかしたら貴族という生き物は、皆こんな感じなのか? 「用意しないって言ったら?」 用意する義理も何もない。 「なぜ?」 いやいや、この人は何を言ってんの? 「あたしはあなたの友人でも知り合いでも家族でもないの。今日初めて会っただけの他人。なんで当たり前みたいに食事用意しなきゃなんないの?」 ここまで言えば帰るだろうか? 苛立ちがすごいことになっているため、自然と言葉尻もトゲトゲさせてしまう。 「ふむ。筋は通ってるな。でも、そんなの関係ないだろ?」 ……なんでだ…… なぜそうなる? どんだけ世間知らずのお坊ちゃんなんだろ… あたしは大きくため息をついた。 バカの相手を真正面からしたらしんどいだけ。 ここはバカを満足させて帰らすしかない。 あたしはドアを開き家の中に入った。 当たり前のようにあたしの後をついて家の中に入るバカ。 「……狭いな。みんなこんな狭い家で生活しているものなのか?」 あー、もうっ。 バカの上、完全に世間知らず。 「あたしの家はまだ広い方よ。甲冑の人達から逃げたでしょ?あの辺はもっと狭いわよ。」 「これで広い方なのか。」 バカはまじまじとあたしの家を観察している様子。
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