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貴族っぽい男を助けました
「ミラあんがとな。また来いよ。」
「おっちゃんサンキュ!」
家からまあまあ離れた場所にある行きつけの布屋さん。
商店の立ち並ぶ街の一角にあるため、店から出ると、たくさんの人や、きらびやかな馬車が目の前の大通りを行き交っている。
「ちょっとお腹すいたわね…。」
時間は正午を少し過ぎた頃だろうか。
身につけるような時計は、あいにく高価なため持っていない。
もちろん自宅にも時計などはなく、太陽の位置やお腹の空き具合でなんとなく生活している。
天気もよく、お日様はちょうど頭の真上ぐらいに位置していた。
「パンでも買って、食べながら帰ろっか…。でも、最近パンの値段も上がってるし、我慢して帰って家にあるもの食べようかしら…。」
今日はいい布と丈夫な糸をたくさん買ったので、手持ちのお金は心もとない。
そもそも町外れで貧乏な生活をしてるから、無駄遣いなんてできない。
今日買った布と糸だって、あたしが生計を立てるために必要だから買ったのであって、決して無駄遣いしたわけではない。
……布屋のおっちゃんが安くしてくれるというものだから、予算よりもオーバーして買ってしまったことは忘れてしまおうと思っている今日この頃。
ふっとショーウィンドウのピカピカに磨かれたガラスにあたしの姿が映っているのが目に入った。
ゆったりとした上服に、つぎはぎだらけのふわりとしたロングスカート。
一応こまめに洗濯はしているのて、ひどく汚れてはいないが、着古した感満載だ。
背は高くもなく低くもなく。
残念ながら肉付きは良くないほうかな。
キレイと言われたことなんて無い黒髪。
それを定期的に手入れするようなお金なんてないから、伸ばしっぱなしで適当に頭の後でくくっている。
まあまあ前髪が伸びてきているため、耳に掛けているが、すぐに顔へ流れてくる。
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