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「お久しぶりで御座います。高井田副社長」
『クリスタル』時代、私が秘書を務めていた高井田副社長が仕事で柊也さんの元に来た。
高井田副社長とこうして会って話すのは六年振り。
柊也さんと私、高井田副社長の三人で応接ソファを囲み、話をした。
「筒見社長から訊いた・・・息子の玲也君は彼の子供だって・・・筒見社長の病の手術の後遺症で、記憶を失って・・・結婚出来なかったと・・・」
「はい・・・」
「急に退職するから…色々と心配していたんだ…」
「社内では凛香のお腹の子は高井田副社長の子だと言う噂もあったとか…」
「まぁな・・・あの時は妻と息子にも責められたよ…」
「ご迷惑おかけしました…」
「・・・俺は迷惑だなんて…思ってないよ…そうだ…お祝いにレトリバーの仔犬をやろうか?」
「犬ですか?」
「犬は…」
柊也さんが顔を顰めた。
「筒見社長は犬が嫌いか?」
「いえ…そう言う訳では…」
柊也さんは語尾を濁した。
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