思わぬ宿泊客

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私助手席に乗り込むと、大輔さんが好奇の視線を向け、問いかけて来た。 「彼は誰??」 「え、あ・・・船の中で船酔いしていた彼を介抱して、顔見知りになっただけ・・・」 「ふうん・・・まぁー・・・拓郎君が亡くなってもう一年だからね・・・もういいんじゃない??」 「…まあね・・・」 私自身も拓郎の想いを断ち切る為に、再びに島に訪れた。 拓郎と瓜二つの彼に恋をするとしたら・・・まだ、拓郎を忘れ切れていない証拠となる。現に、彼の宿泊先を訊くなんて…私はどうかしていた。 大輔さんはトラックを走らせた。 『ヘブンズホテル&スパ天空』は東京に本社を持つリゾートホテル・シティホテル運営、ゴルフ場とスキー場運営と言った幅広いリゾート運営開発で知られる『株式会社・筒見リゾートマネジメント』が手掛けた巨大ホテル。 ホテルを竣工する前、島全体の観光化と活性化を進めて、インフラ整備も『筒見リゾートマネジメント』の主導で推し進められた。 道の整備も完璧で、公道にあぜ道は全くなく、ガタガタと窪みに嵌りながら車が左右に振動することもなくなった。 「高速艇・・・すっごい人でしたよ・・・」 「もうすぐ満月島と天空島が繋がるからね・・・…雑誌に情報が載せられて・・・例年になく多いんだよ」 「・・・地元の人だけが楽しむモノではなくなったんだ・・・」 「まぁね…」
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