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荷物を置くと、コテージのバルコニーから一人でサンセットを眺めた。
夕映えに沈む太陽を見て、寂しいキモチが湧き上がった。
同じ景色を見て感動をシェアしてくれる拓郎は居ない。
一年が経つのに・・・ここに来たのは忘れる為なのに・・・
船で出会った南条さんの顔が脳裏に浮かんでは消える。そして、ふと気が抜けた時にまた南条さんの顔が浮かんだ。
彼は拓郎じゃない…
何度も自分に言い聞かせて、抗うが無駄だった。
******
時刻は七時。
大輔さんのフレンチ料理を食べようと本館に向かった。
「!?」
本館の出入り口から出て来た南条さんと鉢合わせ。
「阿川さん」
「南条さん、どうされました?」
「・・・予約していたホテルの部屋が取れていなくて・・他の宿泊施設にも電話を掛けたのですが・・・今夜は何処も満室で・・・」
彼は困惑の色を浮かべながら私に説明した。
「そうなんですか・・・」
「ここもダメみたいです・・・」
「・・・私の部屋は二人部屋ですが・・・泊まります?」
「えっ?」
「私についてきてください…」
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