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「どうぞ・・・」
昼間はサングラスをかけていたけど、今はシムレスフレームの眼鏡を掛けていた。
拓郎には感じなかった知的な印象を受けた。
「申し訳ありません・・・」
「いえ…困った時はお互い様です」
私は彼に何を期待しているんだろう・・・
一年経ち、ようやく拓郎を忘れかけたと言うのに。
拓郎に似た南条さんが目の前に現れた。
彼には罪はなく、自分の意思の弱さが招いた事だと思い、自身を責めた。
私が心の中で葛藤を繰り返していると南条さんが話し掛けて来た。
「君は俺が婚約者に顔が瓜二つだと言ったな…」
「え、あ…」
彼は私の言葉を憶えていた。
「瓜二つの好で泊めてくれるのか?もしかして…俺に何か期待してる?」
彼の眼鏡越しに見える漆黒の瞳が私を射抜くように見た。
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