思わぬ宿泊客

17/17
前へ
/149ページ
次へ
「へぇ…世間って狭いですね・・・」 私は島に始めて来たと言う南条さんを観光スポットに案内し、ガイドまで務めた。 最後のスポットは満月島。 砂浜を歩き、目の前に見える満月島を見つめた。 「満月の夜。潮の満ち引きで道が現れて、徒歩で満月島まで行けるんですよ」 「言い伝えでは、その道を恋人同士で歩くと永遠の愛を手に入れて、終生幸せになれるとこの島のガイドブックに書いていた」 「ふうん」 でも、私と拓郎に結ばれなかった。 「俺はそんな非科学的な言い伝えは信じないけど・・・」 「・・・」 「それはこの島の観光の活性化の為に捏造されたのに過ぎない。 幸せになれるのは二人の努力だ」 「南条さんっ超リアリストなんですね・・・」 「悪いか?」 「ううん…」 「歩きたいんなら、歩いてもいいぞ・・・」 「えっ?」 「その道だよ・・・」 「何でって・・・別に・・・暇だから・・・」 「・・・満月の夜は明後日です・・・」 「明後日か・・・へぇー・・・」
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!

954人が本棚に入れています
本棚に追加