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「へぇ…世間って狭いですね・・・」
私は島に始めて来たと言う南条さんを観光スポットに案内し、ガイドまで務めた。
最後のスポットは満月島。
砂浜を歩き、目の前に見える満月島を見つめた。
「満月の夜。潮の満ち引きで道が現れて、徒歩で満月島まで行けるんですよ」
「言い伝えでは、その道を恋人同士で歩くと永遠の愛を手に入れて、終生幸せになれるとこの島のガイドブックに書いていた」
「ふうん」
でも、私と拓郎に結ばれなかった。
「俺はそんな非科学的な言い伝えは信じないけど・・・」
「・・・」
「それはこの島の観光の活性化の為に捏造されたのに過ぎない。
幸せになれるのは二人の努力だ」
「南条さんっ超リアリストなんですね・・・」
「悪いか?」
「ううん…」
「歩きたいんなら、歩いてもいいぞ・・・」
「えっ?」
「その道だよ・・・」
「何でって・・・別に・・・暇だから・・・」
「・・・満月の夜は明後日です・・・」
「明後日か・・・へぇー・・・」
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