プロローグ

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私がこの島を目指す目的は、人生のリセットの為。 この島で、拓郎と知り合い、恋に落ち、東京に戻った後も連絡を取り合った。 拓郎の告白をきっかけに交際は始まった。 二歳年上の拓郎は卒業後、趣味のダイビングを職業にして、ダイビングツアーの企画運営、講習、ショップ運営などを手掛ける会社『マリンビバレッジ』に就職。 年中、ダイビングに明け暮れていた。 マリンスポーツを楽しむ男はチャラい軽薄なイメージを持たれがち。 拓郎も茶髪で耳や鼻にピアスをあけ、チャラいイメージは払拭できなかった。 でも、そんな拓郎も私に対する気持ちは真剣だった。 去年、私が大手食品会社『クリスタル』から内定を貰ったその夜、拓郎が私にプロポーズ。私の大学卒業を待ち、結婚の約束を交わした。 交際を始めて三年目の秋だった。 挙式日は六月の大安吉日、場所は二人の出会った天空島と決めていた。 しかし、拓郎は会社が企画したグァムのダイビングツアーに同行し、ダイビング中の予期せぬ事故で、帰らぬ人となってしまった。
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