置手紙

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満月の夜。 潮の満ち引きで繋がる天空島と満月島。 大勢の観光客が月に一度のイベントを楽しんでいた。 カップルも多く、ジンクス目当てに仲良く歩いていた。 私たちもそんなカップルの一組として混ざる。 私たちは黙って島まで歩いた・・・ 「・・・こうして君と歩いているけど、俺は拓郎さんと同じように君と結ばれる事はないと思う」 「手術受けないつもりですか?」 「そのつもりだ」 「じゃ貴方は・・・どうなるんですか?」 「半年後にはもうこの世にはいないと思う」 「僅かでも生きる可能性があるんなら、手術を受けて下さい。玲斗さん」 「・・・」 生きたくても生きれなかった拓郎の事を思うと私は思わず玲斗さんの頬を叩いてしまった。 「・・・私は貴方に生きていて欲しいです」 「凛香…さん!?」 「・・・」 私は玲斗さんの胸に飛び込んで、泣いて訴えた。 「君の涙の理由は理解している・・・ 拓郎と瓜二つの顔の俺がそんな事を言うから・・・悲しくなったんだな」 「違います!!私は玲斗さんだから・・・」 「凛香・・・」
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