三人の男

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****** 梅雨入りした七月の束の間の曇り空。 湿った空気の含んだ生ぬるい風が私の頬を撫でた。 定時で仕事を終え、駅前の駐輪場に停めた自転車に乗り、息子の玲也の通う保育園のお迎えへと向かう。 「ママ!!」 母親の私の姿を見るなり、園室の奥で友達と積み木で遊んでいた玲也は一目散に走り込んで、足許に纏わりついた。 「ママ、今日ね・・・ボク、ご飯ぜんぶたべたんだ・・・それからね・・・」 玲也は嬉しそうに笑顔を浮かべ、機関銃にように喋りまくる。 「よかったね・・・玲也」 「うん」 「阿川」 保育士として、働く高校時代の同級生・小森正平(コモリショウヘイ)が私たちの元に歩み寄って来た。 小森君は玲也のぞう組の担当保育士。 「小森先生・・・」 「今日は早い帰宅だな・・・」 「うん」 長身で短髪の小森君。 高校時代は陸上部に所属し、短距離選手としてインターハイでも入賞を果たすほどの実力者。 日本体育大に進学し、オリンピックを目指すとクラスメイトの私たちに自慢していたが、足首の怪我により、断念した。 そんな、小森君と久しぶりに再会したのが、保育園の入園式。 互いに驚き合ったのが昨日の話のよう。 私がワケあって、相手の男性とは一緒にはなれず、一人で玲也を産んだ事を知った彼は、何かと私と玲也の世話を焼いてくれた。 私も彼の優しさに甘え、頼る事もあり、私たちの距離は近づいた。そして、とうとう私は小森君から告白された。 でも、私はーーー・・・
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