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「失礼します」
私はコツコツとドアを二度ノックした。
「どうぞ」
男性の声を訊き、ゆっくりとドアを開き、中に入った。
私は突然、筒見社長の秘書・黒沼さんの呼び出しを受けた。
「仕事中、お呼びだてして申し訳ありません…阿川さん」
「いえ…」
「こちらにお座りください…」
と彼は私を椅子に座らせる。
場所はオフィス棟の二階の会議室。
ハウスキーピングのアルバイトが決まり、座学の研修で使用されていた場所だった。
「私にどのようなご用件でしょうか?」
『「クリスタル」の高井田副社長は御存知ですよね…」
「はい…私は五年前のお話ですが…高井田副社長の秘書を務めておりました…」
「高井田副社長が…当ホテルで貴方の姿をお見掛けしたそうです」
「え、あ…そうなんですか…」
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