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そう言うと、またも続けて言った。
「い・・・いけない・・・怪人薔薇女の精神が私を乗っ取ろうとしている・・・。
早く・・・。」
そう言った淳子さんに多数が言った。
「ぼ・・・僕達は正義の味方だ、きっと淳子さんを助けて見せる。
プロ・・・なんとかカホが帰ってきたら、やっつけて淳子さんを人間に戻して見せる。」
そして、みんなの顔を見回しながら言った。
「いいな、みんな!」
「お・・・おう。」
その時の私たちはTVの中で活躍する本郷武や一文字隼人・・・そして兜甲児の様な気持ちになってしまっていた。
悪をやっつける正義の味方・・・その姿に自分たちを重ね合わせていた・・・。
やがて・・・どのくらい時間が経ったか・・・5分だったかもしれないし30分だったのかもしれない・・・長い時間が過ぎ・・・雨戸を閉めてある淳子さんの部屋からは見えなかったが庭に車が止まる気配がし・・・やがて階下から鈍くドアの開く音が聞こえた。
「ああ・・・もう駄目だわ・・・プロフェッサー・カホは血も涙もない悪の化身よ・・・だから早く帰りなさいって言ったのに・・・。」
私達の後ろで淳子さんが悲しそうな声で言った。
足音は・・・ゆっくりと階段を上がり・・・やがて2階の廊下へ・・・そして、淳子さんの部屋の前で止まった。
そして、淳子さんの部屋のドアがゆっくりと開いた・・・。
そこには、染みの目立つ白衣姿で背の高い細面の・・・やや青白い顔をしたTVに出てくる吸血鬼みたいな男が立っていた・・・。
「や・・・やっつけろ!」
多数が叫ぶと、りうじが自慢の銀玉鉄砲から鈍く光る銀玉を発射した。
千冬は叫び声と共に、突っ込んで行った・・・。
私はパチンコをゆっくりと構えた・・・。
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