現世(うつしよ)のささやかな希望

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私達、金鯱少年探偵団は、中学になると学区が変わりマッチーとりうじが別の中学へ・・・その後高校は、各自てんでばらばらの学校になった。 多数とさっきゅんは私立の有名進学校へ、マッチーは実家の鉄工所を継ぐために工業高校へ、りうじは高専へ、千冬は・・・アメリカに留学した・・・きっと、近いうちに全日か新日のリングに上がる姿をTVで見る日が来るかもしれない・・・。 私は公立の高校へ進んだ・・・。 進む道は少しずつ違って来たけれども、私達は未だに手紙等で連絡を取り合っている。 話題は皆の近況や、そしてあの冒険譚の事だった。 20歳になったら同窓会をしようという多数の提案に皆、賛成し来年のその時を待っている。 薄っすらと差し込む陽射しを見上げて私は思った。 来年・・・みんなどんな風になっているのか楽しみだ。 そして、その同窓会には私だけが知っている秘密のゲストがいる・・・。 姉に頼んで話を付けて貰ったのだ・・・淳子さんである。 淳子さんは亡くなった香帆先生の跡を継ぎ、外科医としてまた義手や義足の研究をしているそうだ・・・私たちの事もよく覚えていたと、姉が言っていた。 私達の冒険譚は来年の同窓会でまたもやきっと話題になるだろう・・・きっと・・・。 私はその時の情景を思い浮かべながら姉に向かって微笑んだ・・・。 ー おしまい ー
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