現世(うつしよ)のささやかな希望

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「よし、先ずは1階からだ・・・。」 多数がそう言うと、千冬とともに先頭に立った。 私たちがその薄暗い廊下に足を踏み入れた時・・・2階から扉が軋む音がした・・・。 『わ~っ!!』私たちは誰彼となく叫んでいた。 みんなびっくりしてその場にへたり込み・・・懐中電灯の明かりは天上やら床やらを止めどもなく彷徨っていた。 「だ・・・誰かいる!」 そう言ったのはマッチーだった。 「あ・・・当り前じゃないか・・・あ・・・青髭の館だぞここは・・・。」 やや、歯の根の合わない風で多数が吐き出すように言った。 「どうするの・・・?」 さっきゅんが極めて冷静な口調で多数に言った。 多数は、私たちを見回すと咳払いをして言った。 「よし、探索は2階からだ・・・みんな行くぞ!」 『お・・・おう・・・。』 中々に元気のない掛け声が1階の廊下に木霊した。 歩くたびにぎしぎしと揺れる階段を、例の如く怖いもの知らずの千冬が先頭に立ち、その後ろを銀玉鉄炮を構えたりうじと照明役のマッチー、そして私と多数、最後にさっきゅんが続いた・・・。 2階に上がると、千冬が言った。 「おい、奥の部屋から灯りが漏れているぞ・・・。」
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