29959人が本棚に入れています
本棚に追加
いつの間にか車が地下の駐車場へと入っていき、一番奥の空いていたスペースに停まった。
車から降りてトランクからスーツケースを取り出し、エレベーターへと向かう。
エレベーターに乗り込むと、副社長は4階のボタンを押した。
(あれ……? 4階?)
前に来たときには気づかなかったけれど、エレベーターのボタンが4階までしかないことに少し驚いてしまった。
セキュリティーがとてもしっかりしていて、エレベーターも3基ほどあったから、てっきりタワーマンションかと思っていたからだ。
ホテルのように、低層階、高層階と階数によって分かれているエレベーターなのだろうか?
エレベーターの中を見渡してみるけれど、そんなことは何ひとつ書いていない。
「美月、どうした?」
私の不思議そうな表情に、副社長が顔を覗きこむように尋ねた。
「あっ、いえ……。どのエレベーターに乗ったらいいのかなと思って……」
「んっ? どのエレベーター?」
「はい。3基もあったから、迷わないようにしないと……と思って」
「ああ……」
副社長は目じりを下げてクスッと笑みを零した。
最初のコメントを投稿しよう!