最高の誕生日

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「かしこまりました。行ってらっしゃいませ」 椅子から立ち上がって、作り笑顔を浮かべて会釈をする。 笑顔を浮かべたって、 私の顔を見ないのは百も承知だけどね……。 やっぱりこっちを見向きもしないし……。 そのまま副社長の後ろ姿を視線で追い、エレベーターに乗ったのを確認する。 「あー、疲れたー」 緊張の糸が解けたように、どっと疲れが出てくる。 私は一応誰もいないことを確認してから、両手を組んで上にあげ、大きく伸びをしながら首をグルグルと回した。 ずっと顔を合わせてるわけじゃないけど、副社長がいるといないじゃ、緊張の度合いが全然ちがうんだよね……。 笑わないから怖いし……。 彼女の前だと笑ったりするのかな? あんなにイケメンだときれいな女の人しか相手にしないんだろうな……。 なんて思いながら、ふと壁掛けの時計が目に入る。 3時過ぎか……。 副社長も外出したことだし、下のカフェテリアでコーヒーでも買ってこよっかな。 あっ、そうだ、 その前に既決ボックス確認しとかなきゃ! 副社長室に入り、既決ボックスに何も書類が入っていないか確認して乱れていた椅子を整えると、私はエレベーターホールに向かった。
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