最高の誕生日

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エレベーターの降下ボタンを押し、再び大きく息を吐く。 そう言えば副社長って、毎週金曜日どこに行ってるんだろう。 3時頃に必ず出かけて帰ってこないんだよね。 エレベーターを待ちながらそんなことを考えていると。 「あら、サボり? 仕事ができない人はいいわね。サボる時間があって」 専務秘書の黒木さんが専務室から書類を持って出てきた。 私の顔を見ると、見下したような態度で嫌味を言ってくる先輩の秘書だ。 どうやら秘書経験のない私が副社長の秘書に抜擢されたことが面白くないようで、私を見ると何かにつけて嫌味を言ってくる。 敵対心剥き出しって感じ……。 私なんかにそんなこと思わなくても、黒木さんが完璧な秘書なのはみんな分かっているのにね。 「お疲れさまです。飲み物が切れたので、下にコーヒーを買いに……」 当たり障りのないように少し笑顔を浮かべて答える。 「やっぱりマーケあがりには、秘書の仕事は難しすぎるんじゃないの?」 「だいたい山内さんに副社長みたいな重要な人の秘書が務まるの?」 エレベーターに乗った後も、延々と黒木さんの嫌味は続く。 私は聞こえないふりをしながら、右上に表示されるエレベーターの階数をじっと見つめ続けていた。
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