山内美月という秘書 –壮真side-

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山内美月という秘書。 俺が4月に副社長に就任した時、マーケティング部から異動してきた女性だ。 女性にしては身長が高く、ほっそりとしていて、黒目が大きく、美人というよりは可愛らしい顔立ちをしている。 だが、化粧品メーカーに勤めているにも関わらず、どういう理由かいつも薄めのメイクしかしていない。 周りにしっかりとメイクをしている女性が多い中で、あまり目立たない女性だ。 あの秘書が俺をここに連れてきた……? 聡の話からだとおそらくそういうことだろうけれど、俺にはあのおとなしそうな秘書がそんなことをしたとは信じられなかった。 最初、俺の副社長就任が決まった時、秘書部の部長から専属の秘書を1名付けるという話があった。 それを聞いて、俺は秘書なんか必要ないと突っぱねた。 実際、海外では自分でスケジュールを調整し、航空券やホテル、車の手配をし、事務処理もしていたほどだ。 スケジュール調整や交通の手配に関し、いちいち指示をするのも、確認されるのも面倒くさい。 だが、秘書部の部長には「これは既定だから」と言って、受け入れてもらえなかった。 それなら、通常の秘書ではなく、戦力として使える者をよこせと希望を出した。 俺のその希望に、秘書部では候補者を人選するのにかなり難航したようだった。
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