最高の誕生日

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早くカフェテリアに着かないかな……。 もう、エレベーター動くの遅いし……。 こういう嫌な時間は妙に長く感じる。 「仕事ができなくてサボってるのなら、副社長に言って秘書から外してもらったら?」 毎回言わなくても私が秘書に相応しくないのは私が一番分かってるってば……。 「ちょっと聞いてるの!」 「もう少し時間が経ったらお願いしてみるつもりです。今はまだ秘書になったばかりなので、わがままは言えませんから」 私だってマーケに戻してもらいたいのに仕方ないじゃん。好きで秘書になったわけじゃないのに。 私は入社した当初、マーケティング部に配属されていた。 そこで部長やチーフのサポート業務をしながら、市場における消費者のニーズ、売れ行き、シェアなどさまざまな分野の市場調査をし、広告やCMなどの戦略立案などを行っていた。 今、どんな化粧品が求められ、どのような色が人気があり、どういうメイクが好まれるのか。 最初は分からないことだらけで大変だったけど、分析や調査をしながら商品のプロモーションをしていく仕事はとても楽しかった。 だけど半年前の4月、海外から帰国した社長の息子が副社長として就任する際、なぜかマーケティング部から副社長付の秘書として異動を命じられた。 秘書業務など一度もしたことない私には、ありえない人事だった。
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