最高の誕生日

7/11

28745人が本棚に入れています
本棚に追加
/361ページ
「あっ、ここだ。着いた!」 彩矢がスマホを見ながらお店の名前を確認している。 駅から5分ほど歩いた路地裏のマンションの1階に、彩矢が予約してくれたイタリアンのお店があった。 『Compleanno』と書かれた看板には、小さなイタリアの国旗が描かれている。 「ここね、コンプレアンノっていうお店なの。イタリア語でね、誕生日っていう意味だって。美月にぴったりでしょ!」 彩矢がそう説明しながらお店の扉を開けた。 「いらっしゃいませ」 笑顔の素敵な女性が入り口で温かく出迎えてくれる。 「予約していた田辺です」 彩矢がそう告げると、 「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」と言って、奥のテーブルに案内してくれた。 テーブル席が6卓とカウンター席だけの小さな店内。 だけど、テーブルに小さなお花が飾られていたり、壁にはスプーンとフォークの時計が掛けられてあったりと、シンプルだけど可愛い雰囲気のお店で、私たちが到着したときには既に満席になっていた。
/361ページ

最初のコメントを投稿しよう!

28745人が本棚に入れています
本棚に追加