残念なイケメン

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残念なイケメン

「あー、めちゃ美味しかったー! お腹いっぱい……」 「ここ、また一緒に来たいね」 いつものように割り勘にしようって言ったのに、彩矢が誕生日のお祝いだからと言って私の分まで支払いをしてくれた。 お店を出て腕時計を見ると、時刻は21時になる前だった。 「美月は東西線だから、茅場町で乗り換えだよね」 駅までの道を歩きつつ、彩矢がスマホで電車の時間を検索しながら尋ねる。 「彩矢……、私今日ね……、実はウェスティン予約してるんだ……」 「えっ、ウェスティンって、あそこにあるウェスティンホテル?」 彩矢がすぐそこにあるホテルを指さしながら、目を丸くして私を見た。 「うん。ネットで誕生日宿泊プランっていうの見つけてね、ホテルの朝食と高級スパが受けれるんだって。明日休みだし、自分への誕生日プレゼントってことで予約しちゃった……」 誕生日の夜に1人でホテルに泊まって高級スパを受けるなんて、もしかしたら寂しいと思われてしまいそうで、思わず自嘲気味に笑ってしまう。 そんな私を笑うことなく、 「私も誘ってくれたらよかったのにぃ」 と、彩矢が残念そうな顔をした。 「じゃあ、彩矢も一緒に泊まる? キングサイズのベッドだから彩矢も寝れるよ」 「マジで? 泊まるー!……って言いたいところなんだけど、明日朝イチに美容院の予約を入れてるんだよね……」 「そっか……。じゃあ無理か……」 私が少し落胆するように視線を下に落とすと、 「そうだ美月! 終電までまだ時間あるから、ウェスティンの上にあるバーに少し寄ってみない?」 彩矢がいいことを思いついたと言わんばかりにパチンと手を叩いた。 「ウェスティンのバーってすっごい夜景が綺麗なんだよね? 行きたいー。うん、行こ行こ!」 私たちは心を弾ませながら、すぐ目の前に見えるウェスティンホテルのバーへと向かった。
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