突然、発情しました…(泣)

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突然、発情しました…(泣)

「っ………なん…で…?…身体が…変!?」 身体が……。 何故か過敏に反応してしまい、己の緊急事態にパニックになる。 何が。 一体、何が起こってるんだ……? 突然、身体中の血が沸き上がり、体の芯まで蝕んでいく甘い疼きに。 恐怖を感じた。 息を吐くだけで頭の中がクラクラして。 下半身が。 俺のちんこが… 。 ムクムクと勃起し始め、トランクスの中で苦しいほど主張している。 うそ……なんで……? さっきまでは、なんともなかったのに!? 動揺した俺は頭の中が真っ白になって、そのまま固まってしまった。 さっき、桐生に掴まれた手から急に熱を感じて。 それから身体がおかしくなって…。 今も尚、続く媚薬のような高揚する熱に。 知らない何かに支配される恐怖で体の震えが止まらない。 こ、これ、ヤバイ。 マジでヤバイ。 「き、桐生……手、離して!!」 止まらない疼きに耐え、その場で膝折れると。 桐生から離れるために掴まれている手を振りほどこうと体を動かした、たった少しの衝撃で。 一気に快感が突き抜けた。 「ああっ!!くぅ…ッ」 今の行動で。 鈴口から先走りが止まらずにダラダラと流れてる感覚を知って恥ずかしさで思わず赤面する。 ……こんな姿を誰にも見せられない。 今すぐにでも桐生から離れたい。 離れなきゃいけない。 ─────なんだかすごく嫌な予感がする。 それなのに。 さっきから手を離して欲しいと訴えているのに。 手を離す所か、桐生はポカンと口を開けたまま驚いた表情と共に、何故か顔を真っ赤にして俺をじっと見つめると。 ゴクンと喉を鳴らした。 その間にも絶え間なく続く疼きのせいで。 体が震えて止まらない。 「っ……!…身体変っ、怖い、熱いっ、死んじゃ……う!!」 小刻みに体が跳ねると。 俺の声と思えない、甘い声が次々と止まらずに漏れていく。 「ああ…っ…あ、…あ……苦し……き、桐生、手……離し…て!! 」 息を整えようとしても 疼く身体をコントロール出来なくて。 ゾクゾクが止まらない。 俺は一向に手を離してくれない桐生にイヤイヤと髪を振り乱しながら身体を撥ねつけようと必死に抵抗する。 けれども、桐生は手を離す処かじっと熱い視線で俺を見つめてくる。 その視線ですら羞恥心に襲われ。 なぜだか快感に体が酔いしれてしまう。 俺ってMだったのか……。 桐生に見つめられて興奮してる、だなんて。 こんな性癖、完全にアウトじゃん…(泣) イケメンは女だけじゃなく。 男もトリコにできるものなのか…!? 初めての感覚にパニック状態の俺は思考までもグルグル回って。 本当にもう、ワケワカメ……。 カオスだ……(泣) 体は体で、全身が性感帯のような感覚に理性も持っていかれそうになって。 桐生に弱味を見せたくない俺は。 潤む瞳でキッと桐生を睨みつけた。 そんな俺を食い入るように見つめている桐生が小さくボソッと呟く。 「お前もしかして…『オメガ』なのか?それになんだ、そのヒート……ヤバすぎだろ……」 「………ち、違う!!お、俺は…オメガなんかじゃ…!!」 「嘘つけ!!お前の体からフェロモンが駄々漏れなんだよッ!!……クソッ、このオレがあてられるなんて…!!」 俺を睨みつけているのに、桐生はそれでも手を離してくれなくて。 その間も俺は狂ったように髪を振り乱して。 その熱を散らそうと桐生から離れようと必死に抵抗する。 急に体がおかしくなった時。 なんとなく分かっていた。 だけど、信じられなかった。 信じたくなかった。 俺が『オメガ』だという、揺るがない事実。 男なのに…子を孕む事が出来るという現実に。 そして。 大キライな『アルファ』の桐生に……俺が『オメガ』だとバレてしまった。 きっと俺はオメガでも。 桐生に嫌われているから…これからは最下層ランクの扱いを受けるに違いない。 頭の中ではこの場をどうにかしたくて、冷静にオメガのヒートに対抗しようと抗っているのに。 ハァ、ハァ、あん、あん、と自分の甘く泣き叫ぶ声が止めどなく耳元で木霊して。 発情している自分にほとほと嫌気がさす。 自分の声だと思えない。 発情してるなんて思いたくない…。 そう思っていても口から止まらずに溢れ、甘く淫らな声に恥ずかしさと、そんな声に感じてしまう醜悪な自分を桐生に見られ、聞かれた事もショックで……。 ……俺、恥ずか死にたい……。 涙は自然にポロポロと溢れ落ちて、その度に体内の熱を吐き出したい本能に刈られて、狂いそうなそれを必死に抑えようとしているのに。 桐生が手を離してくれず、俺は必死に抵抗する。 「………も、も、死んじゃう!!…き、りゅう…お願い……お願いっ、助け………て!!」 泣きながら、大嫌いな桐生にお願いするしかない俺の中の自尊心は、既にボロボロだ。 そんな桐生はずっと俺の痴態を黙って見つめていたが。 何かを決めたのか。 躊躇いながら俺に話しかけてくる。 「た、助けて欲しいんだったら……オレの名前を呼べ…蒼馬って」 ……なんで、こんな時なのに名前呼び…? 意味が分からん? …ああ、でも。 桐生なら、そう言わなきゃ助けてやらないぜ。って感じなのか…。 微かに残るマトモな思考も、喘ぐ度に掻き消され…。 甘美な情欲に負けないようにしているのに。 俺は桐生にすがるように甘えてしまう。 「ふあっ、あ、そ、そうまぁ……お願い……助け………あぁん!!」 必死にお願いすると。 いきなり桐生に抱き締められて。 突然、俺の唇に生暖かさが広がった。
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