芽生え

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芽生え

「坊ちゃん、何やら最近楽しそうですな。」 清一郎が庭の花々に水をやっていると、黒部がニコニコと微笑みながら近寄ってきた。 「えっ、そうかな?」 「ええ。大学院に通い始めてからお帰りが遅くなり心配しておりましたが、とても充実しているご様子で。ご主人や奥様とお話した後も塞ぎ込むことがなくなり…おっと、これは出過ぎたことを申しました。お忘れくださいね、坊ちゃん。」 「ありがとう、黒部。」 清一郎と両親の確執を昔から知っている為、黒部はずっと心配してくれているようだった。 「研究室にね、周さんという方が居るんだけどその人と最近仲良くなって。研究の合間に花の話とかをするんだ。」 とても嬉しそうに話す清一郎を見て、黒部は優しく目を細めた。 「良いご友人が出来たのですね。」 「友人……なのかな?一応先輩なのだけど。」 黒部の言葉に少しの歯痒さを覚えながら、清一郎はふと周との関係はどう言ったものなのだろうと疑問に思った。
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