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第十二話
第十二話:審判
月読命:
「彼らはやってくれたね。
この星でのヒトの歴史が始まった時は、正直言ってヒトに期待はしていなかったし、それにウルの依頼もあって仕方なくこの星に留まっていたんだけど。
今は彼らの存在と功績が本当にうれしいよ。
これで、私らの仕事は終わったね。
どうだろう、アモン、君の力で彼らを蘇らせてくれないか?
私の“無”の力ではそれが無理だからね。」
神竜アモン:
「まさか、お前がそれを望むとは。
意外だよ。
我と同じく、フラスコの外より召還された者。
そして、唯一意識を持った“無”よ。
我の知るお前は、その力ゆえ、誰よりも冷徹で、誰とも接触しようとはしなかった。
しかし、我の力で、あのものたちを再生させた場合、あのものたちは永遠に生きることになるぞ。
それは時として、あのものたちにとって歪みをもたらすかもしれないぞ。
それでもいいのか?」
月読命:
「・・・・そうかもしれない。でも、私は信じてみたいんだ。」
神竜アモン:
「・・お前は、ヒトと関わって良い風に変わったな。
いいだろう。
その願い叶えてやろう。」
神々の意向によって進められた歴史なのか。
あるいはヒトが望んだ歴史であるのか、いずれにしても、神々によるヒトに対する審判の時は、ヒト自身の手による2つの指輪と3体の最終兵器の“無”への還元によって、終了となった。
また、この戦いによって暴走することなく最後まで戦い抜いた3人の戦士の功績により、神々はヒトを種として、その存在を認めることとなる。
焦土と化した地球を再建させるため、また、再びヒトが暴走することを防ぐためにも、無に還元されたシグルド・シャナオウ・ランスロットの魂が神竜アモンによって召還され、神竜アモンは彼らが宿るための肉体を作り、彼らは再びヒトとしての生命を与えられた。
そして、神竜によって作られた肉体であったため、竜王を凌ぐ能力とともに、永遠に近い命を与えられた。
その後たびたび形を変えて、歴史上または伝説上に名を残すことになる3人の戦士であるが、彼らがこの星に戻ってから暫くは別々の行動をとることになる。
シグルドは月読命と行動を共にし、吟遊詩人として行動すると共に、焦土と化した地球上で、邪悪な魂や、非業の死を遂げたものたちの魂を“無”へと還元をする旅を始める。
シャナオウは、生き残った人間族を束ね、彼らと共にガロア帝国を解体する。
さらに、シャナオウ常勝軍をも解体し、人々と共に植林や農耕に従事する。
さらにその数年後、人々に国王になることを勧められるも、それを辞退する。
シャナオウはその後医学を身に付け、傷ついた人々の救済をしつつ、医学を流布するための旅を始める。
ランスロットは、コーラルに身を置き、各地にエルフ、竜族、ホビット族の国を再建する。
その後も自らはコーラルに留まり、後に妖精王と呼ばれることとなる。
3人の戦士の功績により、地球は蘇った。
しかし、この平和を守るのも壊すのも我々ヒトであることを、いかなるときも忘れてはならない。
遥か遠い未来に、我々ヒトが、種として、総ての記憶と可能性をフラスコの外へと開放するためにも・・・。
おわり。
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