第四話

1/1
前へ
/13ページ
次へ

第四話

第四話:グングニル皇国④  グングニル皇国は、もともとは竜族により作られた皇国で、竜族に伝わった聖剣であるノートゥングとその肉体を皇として祭る国である。  国の危機には、竜王が飛来して国を守るため、難航不落の国である。  そのこともあり、外敵に備える必要がないため、竜族自身の暮らしは人間族と比較した場合、とても素朴である。 また、以前は人間族やホビット族の移民が盛んであったこともあり、実に多くの文化が生まれている。  竜族とは、竜と呼ばれる神が自らの意思により、神々の時代にヒトの一部と融合した者であり、その末裔とされている。  世界の再編成の際に、永遠の命は失い、それと同時に竜族としての記憶をも失ってしまったとされる。平均寿命は約70年。普段の能力は人間族とほぼ変わらず、外見も人間族と変わらないため、一生を自分自身が竜族として気づくことなく終えるものも多い。  しかし、身に危険が及んだ場合や、自分の守るべきものにとてつもない危険が及んだ際に、本来の竜族として目覚めることが多い。  竜族が目覚めた場合の平均寿命は約3000年といわれている。また、竜族として目覚めたものは、負傷した際の高い再生能力を誇り宇宙や大気からの精気を吸収するため、食事は必要なくなる。  また、身体を竜に変化させることも可能で、空のみならず、深海や宇宙を航行することも可能である。  そのことから、目覚めた竜族は竜王と称され、ほとんどのものはもはや大地に住むものとは一緒に生活しなくなる。しかし、竜族が守護する聖剣ノートゥングに危険が及んだ場合や、グングニル皇国に危険が及んだ際には、竜王たちが飛来して、この国を守るのであった。  このように、生命体としては究極に近い存在である竜族であるが、目覚める前より男女共に生殖能力は極めて低く、年間で約500組に1組の確立でしか出産がない。また、目覚める前は、容姿も能力も人間族とほぼ変わらないため、配偶者を人間に求めることがあるが、その場合においても出生率は変わらないとされている。  難攻不落と自負していたグングニル皇国であったが、竜王をも凌ぐ攻撃力を持ったネロと、それに感化されるように強大になったガロア帝国により劣勢に追い込まれていった。  グングニル皇国の長老でもあり、竜王でもあるノルナゲストと、ホビット族の長老であるスディードとの間で両国の同盟が結ばれることとなった。  ホビット族は、陸空海を自在に航行する巨大な船で生活している。たいていの場合、その船は空中都市として存在しており、いくつか存在するその巨大な船はノアと総称されている。  ホビット族はその船の中で、生活の全てを快適に問題なく生涯を過ごすことが出来る。現在のところ、大地にホビット族の国家は存在していない。  もともとは、ガロア帝国建国前に発生していた、大規模な人間族による紛争に巻き込まれるのを防ぐために、1つの島をホビット族の技術により、改造し船にしたのがその始まりである。  そのノアの1つに、ホビット族に伝わった聖剣アメノムラクモとその肉体が封印されており、そのノアはオノコロと呼ばれ、現在は地底深くに封印されている。  ホビット族とは、神々の時代に、ヒトが“無”に対抗するために3体のレクイエムと呼ばれる最終兵器を建造するために、ヒトの一部がその能力と容姿を変化させた存在といわれている。  世界の再編成の際に、ヒトより分離したものの、固有の生命体として独自の文化を発展させる。平均寿命は約100年。一般的にかなり小柄ではあるが、筋肉質である。知能は人間族より遥かに高く、何かを創造し、それを具現化する能力に長けており、人間族と同様に生殖行為により子孫を残す存在である。  そのホビット族が持つ技術と、陸空海を自在に航行できるノアは、グングニル皇国がガロア帝国に対抗するために、非常に有益な存在であったが、それでもなお、グングニル皇国が劣勢であることには変わりがなかった。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

14人が本棚に入れています
本棚に追加