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01. 〇・〇〇〇〇〇〇〇〇五パーセントの少年<8>
「——サイレ!」
叔父が、自分を呼んでいた。
目覚めたとき、少年はガラスの筒にもたれかかり、メロンゼリーの介在しない空気を夢中で吸いこんでいた。
「やったぞサイレ!」
叔父が、ガラスを叩いていた。
「先生、危ないですからどいてください。いまガラスを動かしますから。サイレ君も寄りかからないで」
カタレナがオペレーターに指示を出すと、室内クレーンが動きだした。クレーンが叔父のあいだの透明な障壁を取り除くのを、他人ごとのように眺めながら、サイレは自分の手をゆっくり上げる。何回か握ってみて、自分の思いどおり動くのを確かめた。
心臓が、とん、とん、とん、と鳴る。それは、絶えることなく鳴りつづけていた。
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