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あのスピード……サイボーグ!?
慌てて橋の下を覗き込むと、運河の水面は物凄い風を吹き付けられたように細波が立っている。それに、銃声に気を取られていたけれどこの轟音……!
振り返ると橋の下からVTOL機が上昇していて、女の子は大男によって機内に引っ張り込まれていた。
「逃げて!!」
VTOL機は上昇を続けて橋の上に出ると、パトカーに銃弾の雨が降る。弾痕が次々と開き、硬い部位に命中した銃弾は火花を散らす。VTOL機は射つだけ射って、高度を上げて飛び去ろうとしている。
「車を!」
「え?!あ、ああ!」
私はエンジェルさんに車に戻ってもらうと、田嶋さんと一緒に逃げ遅れて負傷した警官を担ぎ上げて車に乗った。
「空港へ!」
「解った!」
「弾は抜けてるわ……救急キットはある?」
空港へと走り出す車の後部席の車内灯を点けて警官の傷を診る。警官は私の質問に首を振った。
「田嶋さんバンダナいつも持ってましたよね?」
「相変わらず判断が早ェな……」
田嶋さんからバンダナを借りて銃創の上をきつく縛る。
「着いたぞ!」
「救護所は何処ですか!?」
警官を大型カートに乗せて空港内の救護所に向かい、途中で遇った空港職員に任せて2階の税関に向かった。
「少女誘拐の容疑者を追っているの。至急94番格納庫に預けている私の船で発ちたいのだけど……この2人も協力者よ」
「解りました。こちらへどうぞ」
税関でパスポートとヴィジランテの登録証を見せると職員に案内され、私と田嶋さん、エンジェルさんは先程まで閉じられていた手荷物検査ゲートへと通される。
「ツカモト様の船は94番格納庫です。移動ヴィークルまでご案内します」
「ありがとうございます。急ぎましょう!」
職員の案内で出発ロビーを走り抜けて滑走路へ降りると、滑走路内を移動するバス型のホバークラフトに乗り込む。
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