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『2人共、VTOL機がドッキングシークエンスに入った。ここから4km先、先頭の本船だ』
『了解。送れ』
ナビゲーションシステムを見ていたエンジェルさんから通信が入る。宇宙空間では音が聞こえないから助かるわね。
「ドッキングしているという事は、やはり仲間だったんでしょうか?。送れ」
『さァな……』
『多分違うな。VTOL機がスタビライザーのトラブルとかで救難信号を入れてるから、仲間じゃなさそうだ』
私も考えた手だけど、それなら乗り込む事も出来るわね。
『兎に角、先を急ごう。道のりは遠い。送れ』
「そうですね」
私と田嶋さんは、コンテナを蹴ってカーゴキャリアの隙間を進んで行く。宇宙空間に飛び出してしまわないように加減しなくちゃいけないけれど、VTOL機までは距離があるから急がないと……。
『警戒を怠るな。宇宙空間は地上での戦闘と違ェぞ。送れ』
「解っています。送れ」
宇宙では前後左右だけでなく、上下も関係無いものね……私はカーゴキャリアの前端のコンテナに捕まり、前方のカーゴキャリアとの間を覗き込んだ。
「ここのカーゴキャリアの端に監視カメラがあります。死角へ回り込みましょう。送れ」
『時間が無ェ、突ッ切るぞ!送れ』
田嶋さんはそう言ってカーゴキャリアの間を飛び抜けて行く。確かに、防犯センサーというわけでも無さそうだけれど……。
「でも、あのカメラをハッキングして船内の他のカメラの映像が見られませんか?」
『道具を持ッてりゃ俺だッてそうするがな。送れ』
つまり持ってきてないのね。私も反動をつけると、一気にカーゴキャリアの間を通り抜けて前方のカーゴキャリアのコンテナに着地する。ちょっと勢いつけ過ぎたかしら?足が痺れる。
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