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3つのカーゴキャリアを通り抜けると、コンテナの隙間から先頭の牽引船が見えてきた。そして、その牽引船にあのVTOL機がドッキングしている。
「もう船内に乗り込んでしまったのでしょうか?送れ」
『みてェだな。船内に乗り込ンで偵察する必用があるな。送れ』
「そうは言っても、ドアを叩けば開けてくれる訳ではありませんし……。送れ」
『前にこの型の船で仕事をした事がある。非常口はこッちだ。送れ』
田嶋さんはそう言うとコンテナの間を進み、牽引船とカーゴキャリアの連結部分へと降りていった。
私も田嶋さんを追って連結部分まで移動すると、小さ目なハッチと非常口である事を示すピクトグラムがあった。
『入るぞ』
田嶋さんがハッチを操作するとハッチの上にあるLEDランプが点滅し、15秒後に船内の空気を噴いてハッチが開いた。
『ここは一人ずつだ。中に入ッたらすぐに開けるから待ッてろ。送れ』
田嶋さんはそう言って狭いエアロックチェンバーに入っていった。4分後に再びハッチが開き、私も船内に入ると周囲に警備員が浮かんでいる。
「これ、田嶋さんが?」
「おう、連中だッたら銃を使うな」
宙を漂っている人には外傷は見られない。恐らく峰打ちにしたんだわ……。
「ちょッくらここにいてくれ」
田嶋さんはそう言いつつ警備員をベルトでまとめる。その間に部屋の外の通路をハッチの小窓から覗いてみると、船員が移動している。
「気付かれずに外へは出られなそうです。ベント等はありますか?」
「どうだッたかな?」
警備員をロッカーに仕舞い終えた田嶋さんは部屋を見渡す。私も部屋の壁を探すと、ベント点検用のハッチを見付けた。
「あ、ありました」
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