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「さ、言われた通りにしてるぞ。で、このまま尾行か?それとも止めるか?!」
「止めさせて。中の人を傷つけないように」
「無茶振りだな全く!」
運転手はワゴン車に追いつこうとアクセルを踏み込む。
「何か見たのか?」
「女の子が攫われました」
「……え?俺達の仕事と関係無いじゃん!首相を狙ってる連中を追ってんだぞ?!」
田嶋さんの問いに答えると、運転手はまた口を挟んできた。この人、興奮するとお喋りになる性格みたいね。
「無関係だとは思えません」
「俺ッちも同感だ。誘拐は見てなかッたが、逃走のタイミングが怪し過ぎらァな」
「無線機はありますか?」
「何すンだ?」
田嶋さんがコンソールから無線機のトランスミッターを引っ張りながら訊ねる。
「地元警察の応援を頼みます。周波数は……」
「知ッてる。よし、これで繋がッたぞ」
私は田嶋さんからマイクを受け取り、警察無線に割り込んだ。
「CQ、CQ、ガルモア警察応答願います。私は国際ヴィジランテ登録A1」
国際ヴィジランテは、私がバロテクのテロを止めてから自警活動家が世界中各地で同時発生して生まれたボランティア組織。警察の審査が通れば登録は自由だけど、こうして警察と連携をとる事は登録していないとほぼ不可能に近い。
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