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「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はエンジェル。名前がベンだから、皆ベンジェルって呼ぶけど」
天使?
「素敵な名前ですね。そこを右です」
エンジェルさんには、敢えて1本違う通りを走ってもらう事にした。交差点に差し掛かると向こうの通りをパトカーが並走しているけれど、次の通りに出る前に自動小銃の連射音が聞こえて、次の交差点に出る頃には並走していたパトカーは横転していた。
「うわぁパトカー蜂の巣……タジマは大丈夫かなぁ?って、平気か彼奴なら……」
この先左折したいけれど、対向車線から来る前方のトラックが邪魔になりそうね。
「右に避けて」
「ウワッ!」
案の定、トラックが交差点を曲がって左への道を塞いだから、エンジェルさんには右斜め先にある路地に入ってもらった。
「このまま進んでアーケードも横切りましょう。そうすれば追いつけます」
さっきまでよりは減速しているけれど、路地は道幅が狭いからV6のエンジン音が凄く反射してくるし、視覚的にも物凄く飛ばしているように感じる。この先の道を横断するとアーケードだから、人が出そうね。
「クラクションを鳴らして」
エンジェルさんが的確に反応してくれたおかげでアーケードに入っても、市民を跳ね飛ばさずに済んだわね……って思った直後、カフェのオープン席の椅子がフェンダーに当たって、遥か後方で回転しながら倒れた。ご免なさい。
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