プロローグ

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08a08f07-d1d6-4d97-b65c-c4fea8c946f6  打ち合わせ通り、ステージ脇から出ていくとスポットライトが私を照らし、客席から拍手が上がる。ステージ中央で観衆に御辞儀すると、更に拍手が大きくなった。 譜面台の後ろに下がると拍手が鳴り止み、私はステージ中央の歌姫ズヨネロハスさんとアイコンタクトを取り、演奏を始めた。  彼女は厳しい性差別が残る惑星セズクー出身で、元々双子の妹ローネワイトさんとデュエットで歌っていたのだけれど、彼女達のファンが硫酸を持ってステージ上に襲いかかってきて私はそのファンの男を取り押さえたのだけど、男が持っていた硫酸の瓶が割れてローネワイトさんは顔に火傷を負ってしまい、ローネワイトさんはズヨネロハスさんと一緒にステージに立つのを辞めてしまった。  今こうして彼女のコンサートに参加させてもらっているのは、そんなズヨネロハスさんから助けを求められたから。なんでもセズクーで保守層が力を増し、その中の過激派を名乗る脅迫メールが届いたらしい。  勿論コンサートを行う先々での警察や、会場の警備スタッフに相談する等の基本的な事はやっているけれど、ローネワイトさんが襲われた事もあって、ステージに立つとリハーサル通りに歌えないという。  そこで同じステージに立ち、2年間テロとの戦いに身を投じてきた私にアドバイスを求めてきたというわけ。  そう、私はフルート奏者という立場を利用して各惑星を渡り歩き、その裏で日本政府の“組織”の下情報の収集や要人の警護、対テロ捜査等を行ってきた。 だけど3ヶ月前、聖なる月ラティアで行われていた教皇選挙を狙った国際テロリスト・ハリスの計画を阻止した際に、現場で活動していた私の様子が様々なメディアで拡散されてしまい、“組織”から解雇されてしまった。  それ以来、私は以前から行って来た演奏活動に加えて、安全保障関連の仕事が舞い込むようになった。もう少し具体的に言うと、警備関連のアドバイスや、海外・惑星外での外交問題等のニュース番組等に“専門家”として出演したりといった仕事。そして、今回のようにテロや犯罪の被害者の手助けをする事。
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