ライオンと雨乞いの巫女

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ある町に雨が降らなくなったのと、夜空を気高きライオンが飛ぶようになったのではどちらが先だったろうか。 雨が降らなくなったのを、また獣が翼を持つのを、人々は世界の均衡が崩れただ、神々の祟りだと、不安気な声を次々にあげた。 そんな矢先に、人々はある事に気付く。 「雨が降らなくなったのは、魔女の娘を閉じ込めてからだ」と。 山の頂上の天まで届きそうな石垣の塔の最上階に、捕らわれた哀れな姫君。 彼女は、村の貴族の娘であった。 けれど、目が見えず、見えない瞳が赤色だと言う理由から魔女だと蔑まれ、 両親からも嫌われ、幽閉されてしまったのだった。 哀れな盲目の姫君は、最上階から紐で下に置かれている食事を運び、それを食べ、細々と生かされていたのです。 ああ、太陽に愛されてしまった為に、更に不幸になってしまわれたならば、 なんと不幸な事であろうか。
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