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当時と同じような格好で立っている。
見た目の割には、若い服装。花柄のノースリーブのワンピース。勿論ブカブカだ。
ただ、あの頃より更にやつれて、眼窩がえぐれるように凹んでいる。
服とのミスマッチが、不気味さを加速させる。
「あっ、……青野ババア」
思わずヒロはそう呟き、ハッ!? として口を塞ぐ。
ーーヤバイ! ババアって言った事を聞かれたかも?
いやいや、そんな事より、なんで青野ババアが居るんだ!?
もう住んでいないんじゃないのか?
そう思った時に、
「...,;;.;.;:;:.:;::;:.:::.:..:.......。」
ん?
何か、青野ババアが言っている気がした。
気がしただけで、気のせいかも知れない。
それを確かめようと、耳を済まそうとした瞬間、突如青野ババアがこちらに向かい走り出した!?
向かって来られれば、当然逃げる!?
ヒロは踵を返して、一目散に走り出す。
とにかく、若葉公園に向かう道筋に沿って逃げる。
走り出して直ぐに、目の前に女性が見えた。
とにかく、その人に助けを乞う事にした。
「すいません! 助けてください!! 追われてるんです!?」
生垣の内側で庭の花に、ジョウロで水をやっていた女性は、そう声を掛けられて少しだけ驚いた顔をした。
所謂、グレイヘアと言われる白に薄く黒髪が混じった髪、白い絹地のシャツに白いスカート、若草色のカーディガンを着ている。
年齢は母親よりもずっと上だろうが、老けた感じはしない。
綺麗な顔をしている。
ーーマダム。そんな使った事も無い言葉が頭に浮かぶ。
「誰に?」
マダムが微笑み優しく言った。
ヒロは何となくその女性を頭の中で、マダムと仮称する。
そう言われて、振り返ると
「あれ?」
誰もいない。
青野ババアはどこだ!?
「?」
マダムはどうしたの? という顔でヒロを見守る。
「おかしいなぁ?」
青野ババアは消えて居たが、追うのを諦めたというより、まるで最初から居なかったようだ。
幻覚でも見たのだろうか? だとしたら、人生初幻覚だ。ヒロはなんだか他人事のように思う。
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