翌翌々日の新しい8月31日

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「なに?」 代表するように優子が訊き返した。 「神余さんは、ヘッズが世界を変えるのを阻止出来るのは、俺達だと言ってた。その為に選ばれたんじゃないかって」 「それってーー?」 「ヘッズと正面切って戦うって事か?」 光太が言う。 「違うよ。戦うんじゃない。倒すんだ」 「え!? 嫌だよ」 ギュッと熊のヌイグルミのペコを抱きしめ、衛が言う。 「怖いよ。生き返っても、死ぬのは嫌だよ。死ぬ時は、死ぬ程痛いんだよ!?」 将希が続けて言う。 「なんだよそれ? 死ぬ時は死ぬ程痛いって?」 と剛志は笑い 「お前らは俺が守ってやるよ。ーー俺達は良い、でもヒロ、お前は死んだら、そこで終わりかも知れないぞ?」 と続けた。 「……分かってる。でも、ヘッズをそのままにして置けば、もし9月1日の世界に行けても、その後の世界が変わり続けるかもしれない。それって、どうなんだろう?」 「……。」 「あと、もう一つ」 「何だよ?」 「俺達がこの8月31日から抜けたら、新しい俺達が8月30日から来るんじゃ無いのか? そうなってたら、俺達が9月1日に行っても、それってどうなんだ? もしそいつらがヘッズに負けたら、9月1日に行ったのも、チャラになるんじゃないのか? 結局、ヘッズを倒してから、9月1日に行くしか無いんじゃ無いのか?」 「……。」 剛志は考え込む。 だが、いくら考えた所で答えは出る訳がない。 光太が口を開く。 「ーー分かった。先ずはこの世界から抜け出す方法だ。その後、ヘッズを倒す方法を探す」 「昨日、警官達は銃を撃っていた。銃声がした。それでも、ヘッズは倒せて無い。倒せるモノなのかも分からないよ」 真司は冷静に言う。 「だから先ずは、倒せる方法を探す。俺達には時間はいくらでもあるんだ。もし無理なら、その時は諦めるしかない」 「分かった」 「ーーで、今日はどうしようか?」 とヒロ。 「図書館に行きましょうよ?」 「え?」 「昨日、神余さん10年くらい前の翠鷺日報に、行方不明事件の記事が出てたって言ってたし。地元の図書館には蔵書されてる筈よ」 優子が言った。 「そうだね……。」 ヒロの声は重い。 もしかすると行方不明の6人が、自分以外のサニーズのメンバーかも知れないのだ。 そうなった場合、9月1日の世界に行けても、元居た時代の世界に皆んなは戻れるのだろうか? 「大丈夫よ。今日ヒロに会う前に、皆んなで話し合って決めたの。結果がどうでも、結局確かめなきゃ、私達は前には進めない。行方不明の子が私達でも、違ってたとしてもね」 そう言った優子の顔は晴れ晴れしていて、頼もしくヒロには見えた。なんだか、輝ていた。
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