第一部 第4話 少年交易商人・スンデ

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第一部 第4話 少年交易商人・スンデ

 メディカルルームへと向かう最中...。 「カム13号さん、先代の”私”の遺言として事務用B級バイオロイド(カムシリーズ)に命じていたことは、実行出来ていますか?」    サンチュ総裁が事務用B級バイオロイド(カムシリーズ)に問う。 「遺言?え~と、『コレチゲ・コングロマリットにテロを仕掛けて本社機能を麻痺させて、その隙に件の企業連合体を乗っ取るための工作員大募集!』っていうアレですか?応募者が5体だけいましたけど、裡2体は事故に遭って死亡。1体はミョック傘下のセキュリティ会社に逮捕されて、1体は応募を辞退しています。残りは半年前に応募した、スンデさんっていう12歳くらいの男の子の、只1体だけですよ~。でも、ミョック財閥とコレチゲ・コングロマリットとの共存は、『惑星安全評議会』の取り決めのひとつだったと思うのですけど...」 「だまらっしゃい!」サンチュ総裁は一喝する。「あの組織は私の記憶を辿っても只の一度も姿を現していません!『惑星安全評議会』などという組織の存在は、どうせコレチゲ側が、わが財閥を牽制(けんせい)するためのハッタリに決まっています!!1体だけでも応募者がいるのならば、その者に今度こそわがミョック財閥にとり目の上のタンコブである、コレチゲを叩き潰す工作員の任を請け負ってもらい、あのコングロマリットの崩壊後は私がこの地球の全権限を掌握するのです!!!そしてそれこそが、ミョック財閥傘下の1999集落全ての農民・労働者・社員・役員・株主の雇用と生活、それに福利厚生の安定に繋がるのです!!!!」    総裁は一気にまくし立てる。 「え~と...。正確には応募者は1体と1機と言った方が正しいのですけど...」 「1機?」 「はいな!スンデさんという男の子は、イラブー11号っていうメカに育てられたそうです。頼りになる相方がついてるんですから、テロ行為もスムーズに行くはずですよ~」 「メカ、ですか...。おそらくは革命暦時代に生産されていた、電解炉を内蔵したメカの生き残りでしょう。それならば話は早い。早速明日にでも面接を行い、彼にテロの実行を依頼しましょう!」
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