壱章 付喪神の子守

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 「私、家に電話してくるっ」  興奮気味にかけて行った詩子を見送って、私も鞄からスマートフォンを取り出した。呼び出し音がじれったくて、どきどきと高鳴る胸をそっと押さえる。五度目のコールで繋がって、電話の向こう側で『はい』という低い声が聞こえた。ふう、と息を吐いて口を開いた。  「も、もしもし、三門さん。麻です」  『……麻ちゃん!?』  通話相手の三門さんの声に緊張が走る。  「受かりました!」  『ほんと!? おめでとう! やったね、良かったー……』  深くため息を吐いた三門さんは「ほっとしたよ」と呟く。握りしめていた受験票をしみじみと眺める。  『お母さんには連絡した?』  「あっ……、まだです」  『僕へ一番に連絡したの? お母さんもきっと電話の前で待ってるよ』  ふふ、と笑った三門さんに、頬を掻きながら苦笑いを浮かべる。そして「ん?」と首を傾げた。
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